
流行の話題から不動産目線で読み解く お金と私たちの話シリーズ 第5話

流行の話題から不動産目線で読み解く
お金と私たちの話シリーズ
第5話
給料が上がらない時代、家は「資産」になるのか?
最近、こんな感覚はありませんか?
「なんとなく生活が苦しくなっている気がする」
スーパーに行けば、前は2,000円で収まっていた買い物が2,500円になる。
外食も、光熱費も、保険料も、少しずつ上がっている。
ニュースでは「賃上げ」という言葉が並びます。
でも、実際の手取りを見ると、劇的に増えた実感はない。
物価は上がる。でも給料は大きくは上がらない。
そんな時代に、ふと浮かぶ疑問。「家って、本当に資産なの?」
今日はこのテーマを、不動産の視点から、できるだけ分かりやすく整理してみたいと思います。
1.まず知っておきたい「インフレ」の正体
物価が上がることを、インフレといいます。
インフレが進むと何が起きるか。
簡単に言うと、お金の価値が下がります。
例えば、10年前は100円で買えたパンが、今は130円になっているとします。
同じ100円でも、買える量が減っていますよね。
これが「お金の価値が下がる」ということです。
もし銀行に100万円をそのまま置いておいても、物価が上がれば、その100万円で買えるものは減っていきます。
つまり、何もしていないと、現金は少しずつ目減りしている。
これが今の時代背景です。
ここからが本題です。
家はよく「資産」と言われます。
でも同時に「ローンという借金」とも言われます。
どちらが正しいのでしょうか?
答えは、持ち方次第で、どちらにもなります。
3.家は“消費”なのか?
まず大前提として、家は「住むためのもの」です。
住むという目的だけを見れば、家は“消費”です。
賃貸なら家賃を払う。
持ち家ならローンを払う。
どちらにしても、毎月お金は出ていきます。
そして、
・固定資産税
・修繕費
・保険
・管理費(マンションの場合)
こういった維持コストもかかります。
だから「家は負債だ」と言う人もいます。
間違いではありません。
4.それでも家が“資産”と言われる理由
ではなぜ、多くの人が「家は資産」と言うのでしょうか。
理由はシンプルです。
土地と建物という“実物”を持てるからです。
インフレになると、
・建築資材が上がる
・人件費が上がる
・土地価格が上がる
つまり、新しく家を建てるコストが上がります。
するとどうなるか。
今ある不動産の価値も、相対的に上がりやすくなります。
これは特に、
・都市部
・駅近
・人気エリア
に顕著です。
だから「不動産はインフレに強い」と言われるのです。
もうひとつ重要なのが、住宅ローンです。
例えば、固定金利で3,000万円を借りたとします。
毎月の返済額は、基本的に変わりません。
しかし、もし今後物価が上がり、給料も少しずつ上がっていけばどうなるか。
返済額は同じでも、収入が増えれば、体感的な負担は軽くなります。
さらに言えば、将来の3,000万円の価値は、
今の3,000万円より“軽くなる”可能性がある。
これがインフレ下の借金の特徴です。
つまり、インフレ時代に固定金利で借りることは、
実は合理的な戦略になることもある。
ここは意外と知られていません。
6.ただし、すべての家が資産になるわけではない
ここが一番大事です。
家なら何でも資産になるわけではありません。
・人口が減っているエリア
・交通利便性が悪い場所
・需要が少ない物件
・築年数が古すぎる物件
こういった不動産は、
価格が下がりやすい傾向があります。
逆に言えば、需要が見込めるエリアの不動産は、
将来的に売却や賃貸という選択肢を持てる。
これが「資産」としての価値です。
7.給料が伸びにくい時代だからこそ
給料が急激に上がる時代ではありません。
終身雇用も、絶対ではありません。
だからこそ、
・現金だけに頼らない
・住まいをコストだけで見ない
・将来の出口(売れるかどうか)を考える
こうした視点が大切になります。
持ち家は「ゴール」ではありません。
選択肢を持つための“戦略”です。
8.結論:家は資産か?
答えは、こうです。
家は、
・考えずに買えば負債になる
・戦略的に選べば資産になる
そしてもうひとつ。
本当の資産とは、「安心感」です。
老後に住む場所があること。
家賃を払い続けなくていいこと。
家族が帰る場所があること。
給料が伸びにくい時代。
物価は上がり続ける時代。
だからこそ、「今買うべきか?」ではなく、「どう持つか?」を考えること。
これが、これからの住まい選びで一番大切な視点です。

